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風立ちぬ

宮崎駿監督の「風立ちぬ」。

公開時に映画館で2回見て、ブルーレイも発売と同時に

買って何度か見ました。

しかし、見るたびに感想が少しずつ変わって行きます。

それはこの一本の映画に監督の人生の総括というか、

いろんな物が内包されているから。

はじめは「愛」について心揺さぶられました。
同じ女性としてはね。菜穂子さんの愛への挑み方は
理想的ですから。自分のことは二の次、三の次にしても
好きな人のそばにいたい、支えたいっていうね。
しかし,この映画は何度見ても
明るくも楽しくも無いのです。というか悲壮なんです。
胸にざっくり刺さるんです。
主人公は若くて才能もやる気もあって
周囲の人にも恵まれて、大好きな「うつくしいもの」を
作っている、のにも関わらずです。
それは「自分の作ったうつくしい飛行機が戦争の道具として使われた挙げ句、
多くの人の命を奪った」という悲劇があったからではありません。
まあ、それも一因ではあるのですけれども。
それより何より胸をえぐるのは
「夢を追い求める人間の業」があからさまに
描かれているから、です。
本気で夢を追う、ということは
自我の発動なんです。
そこに他人は介在しないんです。
みんな自分の夢のことで頭が一杯なんです。
「人非人って何?それ、おいしいの?」ってなもんです。
…恋人を、家族を、周囲の人間すべてを
そして自分自身をもボロボロに傷つけても
やりたいんです、やらないと死ねないんです。
ここ重要です。
「やれば,生きられる。」じゃなくって。
「やらずには,死ねない。」んです。
ある意味、一般生活は送れていますが狂人です。
別に二郎さんに限らず
そういう人はあちこちにいます。
この作品はクリエイターの先駆者宮崎監督からの
応援歌…では決してない。
むしろ「覚悟決めろよ、てめえたち。」っていう
ムチだよね、と私は受け取っています。
そういうわけでこの作品は私の中で
お気に入りなのに気軽には見れない、殿堂入り映画になりました。

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